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かきのきのあるいえ
柿の木のある家
壺井 栄
「柿の木のある家」山の木書店、1949(昭和24)年4月20日<br>「海のたましひ」大日本雄辯會講談社、1944(昭和19)年6月14日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 15,460 字 · 32 页
しかし、同じ顔が二つならんでいるのをみると、あの生れた日におばあさんからきいた、ふたごの話を思い出し、その決心はにぶるのでした。
赤ん坊たちはだんだん大きくなり、もうそろそろ、おかあさんのお乳だけでは足りなくなってきました。おかあさんのお乳は、普通よりよく出るのだそうですが、二人分にはなんといってもたまりません。フミエと洋一は、かわりばんに、となり村のくすりやへ、粉ミルクを買いにゆかねばなりませんでした。
ある日、ちょうどその日は、洋一がミルク買いの番にあたりました。学校からかえると、洋一はすぐに出かけました。村を出はずれて、おいなりさまの祠のあるところまでゆくと、道ばたのアシのしげみの向うから、山羊をつれた人が、こっちへやってくるのが見えました。よく見ると、それが三太郎おじさんなのです。洋一は思わずかけ出していって、
「おじさん、この山羊、どうしたの。」
せきこんでききました。山羊の乳が赤ん坊によいことは、洋一も聞いて知っており乳の出る山羊が一ぴき、ほしいほしいと、おかあさんたちが話していたのも知っていたからです。いま、おじさんのつれている山羊は母山羊で、おなかに大きなお乳をぶら下げているのが、すぐ目につきます。