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かきいろのかみふうせん
柿色の紙風船
海野 十三
「新青年」1934(昭和9)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,032 字 · 28 页
それは蝋紙の黄の上に、間違って桃色が二重刷になったものだった。これは二色が重なって、柿色という思いもかけぬ色紙になった。元来すこし位、色が変わっても、子供の玩具のことだからいいことになっているのだが、柿色という色は囚人の制服と同じ色であるところから、われわれ囚人の方で厭がってハネることにしているのであった、それは看守も大目に見ていたのだった。
「なアに、一枚だけだ。これでいいよ。あとは捨てろ。この屑山を直ぐ捨てて来い」
そういうなり私は、柿色の花びらを一枚束の中に加えた。一枚ぐらい余分に加わっても別に作業に不都合はなかった。
それが済むと、私は自分の作業台のところへ帰って来た。そこには五十嵐が何喰わぬ顔で待っていた。
作業は始まった。
私は柿色の花びらのついた紙風船が、もう来るか来るかと、首を長くして待った。
(あ、来たぞ)柿色の紙風船は、遂に私たちの方に廻って来た。五十嵐は無造作に二つに折って、バサリと球の上に被せた。
「やあ」ポーン。
と私は丸い風船の尻あてを貼りつけた。だがそこに千番に一番のかねあい……というほどでもないが、糊のついたところに例の裸のラジウムをくっつけるが早いか、その方を下にしてポーンと柿色の紙風船に貼りつけたのであった、つまり鉛筆の芯の折れほどのラジウムは、紙風船の花びらと尻あてとの紙