轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

かきいろのかみふうせん

柿色の紙風船

海野 十三

「新青年」1934(昭和9)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,032 字 · 28 页

青空文庫

「動かないで下さい。ちょっとの間ですから。――」

そういって彼女は、林檎のような頬に、千恵蔵氏のついている映画雑誌を懐しくてたまらぬという風に押しあて、そして向うへパタパタと行ってしまった。多分その千恵蔵氏を残念ながら誰かに返す時間が来ていたのであろう。

そこで私は、たいへん自然に、ベッドから起き上って脱出する機会を攫んだ。近所には別の青ン膨れの看護婦が、しきりに編物をしていたが、彼女は編物趣味の時間を楽しんでいるわけであって、管轄ちがいのベッドに寝ている私の立居振舞については、まったく無関心だった。だから私は実に威風堂々と、あの部屋を脱出していった。

私は直ぐに便所へ行った。

鍵をしっかりおろすと、私はかねて勝手を知ったる身体の一部を指先でまさぐった。はたしてそこには、丈夫な二本の細い紐の垂れ下っているのを探しあてた。

「ううーン」

と私は呼吸を図りながら、指先でその紐をギュッギュッと引張った。果して手応えがあった。やがてズルズルと出て来たのは小銃の弾丸のような細長い容器に入ったラジウムだった。私はそれを白紙の上に取って、ニヤリとほほえんだ。

「叩き売っても、まず……三万両は確かだろう」