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かきいろのかみふうせん
柿色の紙風船
海野 十三
「新青年」1934(昭和9)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,032 字 · 28 页
「ば、ば、馬鹿」と看守は慌てて呶鳴った。「おれが見ても判らん。上申してやるから一両日待っとれッ」
ガチャンと窓に蓋をして、看守は向うへ行ってしまった。
私は顔を顰めながら、茣蓙だけが敷いてある寝台の上にゴロリと横になった。
――思いかえしてみると、痔の悪くなるのも無理がなかった。あの病院へ行っていたころ、本当に悪かったのである。あれからこっち、汗をかくほどの活動を、それからそれへとした上に、ラジウムの隠しどころとして、あの肉ポケットを利用した時間が実に相当の量にのぼったのだった。その結果、患部は悪化した。いじりまわしたのが悪かったのか、それともラジウムを長い時間、患部に接して置いたのが悪かったのか。
そういえば、ハッキリ刑務所の人間となるときに、私は千番に一番のかね合いという冒険をしたのだった。あのとき、私のあらゆる持ちものは没収され、素ッ裸にして抛り出されたのだ。それまではラジウムを、あっちのポケットからこっちのポケットへと、頻繁に出し入れしていた。同じところに永く入れて置くと、たとい洋服だの襯衣だのを透してでも、ラジウムの近くにある皮膚にラジウム灼けを生ずるからだ。