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もりのいしまつ
森の石松
山中 貞雄
「シナリオ・臨時増刊号」1937(昭和12)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,949 字 · 49 页
「嘘おっしゃい」
「嘘じゃねえ。本当だ。俺達今、町外れまで送って行ったんだ」
「可笑しいね」
と親爺が首を傾げる。
鶴吉、
「可笑しいと思うのも無理はねえ。女房のお前にも一言も云わずに行っちゃって水臭え奴と怒るだろうが、これには理由があるんだ。実ァこの土地に居ると石松の命が危ねえ。首に縄が掛かるんだ」
S=二階
石松、一人。
「鶴の野郎何を言ってやがるんだろう」
と、そっと梯子段の処で窺う。
S=階下
お半が鶴吉に、
「あの人、余ッ程……妾に会いたかったのね」
「それァお前……一目会って行き度えと言ってきかなかったが、そんな事をして居ちゃ危ねえからって、俺達が無理矢理に発たせたんだ。なーにお半さん、半年ばかりの辛抱だ。それに……うちの親分もお半さんが気の毒だ、石松が帰って来れば、たとえ燧箱みた様な家でも二人の為に家を一軒建ててやるって、そう言ってたよ。お前も、何時迄もこんな汚ねえ家の二階を借りて居ねえで……」
親爺、睨む。
鶴吉、慌てて、
「まッお半さん、そんな訳だからどうか石松を怒らねえでやって呉れ。俺ァそれだけ言いに来たんだ」
「わざわざ有難うございました」