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もりのいしまつ
森の石松
山中 貞雄
「シナリオ・臨時増刊号」1937(昭和12)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 23,949 字 · 49 页
どうしたんだ?」
お静、石松を見る。
石松、後姿。銭を廻してる。
七五郎も気付く。
「おや?」
お静が、
「兄さん……?」
「お静、大きくなったなァ」
「兄さん」
「なんだ、石松、お前先刻から其処に居たのか。黙ってるなんて人が悪いぞ」
石松、笑って店へ入る。お静が、
「兄さん、意地悪ねえ」
「お前が、あんまり綺麗になってるもんだから、すっかり見違えて居たんだよ」
「知らない」
石松笑う。七五郎が、
「あれ、石松、眼どうしたんだい」
「なに、なんでもねえんだよ」
石松、奥の間を見て、
「お父っつあん居ねえのか」
「清水へ行ったわ」
「清水へ? 何日?」
「四日程前よ」
「何しに行ったんだ」
「おはんさんから手紙が来たの」
「おはんさんって……誰だ」
七五郎が、
「お前の女房じゃねえか?」
「あッ、お半から何か云って来たのか」
「知らない。兄さん意地悪したから教えない事よ」
「手紙あるだろう。見せて呉れ」
「知らない」
「見せろよ」
「兄さん、何時お嫁さん貰ったの」
「おい、手紙何処にあるんだ」
「妾達に内緒でお嫁さん貰ったりして、お父っつあん怒ってたわよ」