轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

04 第四部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 145,078 字 · 285 页

青空文庫

「話しがさきだ」と十左はもういちどふじこに手を振り、ふじこは去った。鷺坂は持っていた袱紗包みをひらき、十左はそれを止めて、「大事が出来た」と七十郎に云った、「席次争いの裁決があった」

「裁決だって」七十郎はけげんそうに十左を見た。

十左は眼を拭きながら頷いた。彼の眼は数年まえから病んでいて、絶えず涙が出、目脂が溜り、そうして視力が弱るばかりであった。頑なで負けない性分だから、視力の衰えは誰にも云わないが、目脂が溜ったり、いつも涙が出ることは隠せないし、それが彼を苛立たせ、怒りっぽくさせていた。

「そうだ、裁決だ」と十左は云った、「小野には、国老に対して慮外なふるまいがあった、死罪にすべきところではあるが、藩主が御幼弱で、上意のほどもうかがえぬから、当座逼塞ということにする、また氏家伝次は、若年の采女に頼まれて、辞退すべきところを引受け、国老を詰問したのは僣上である、これも切腹に処すべきであるが、同じ理由によって逼塞を命ずる、次に、伊東七十郎は浪人の身にもかかわらず、上を軽んじ政治を誹議した、これまた切腹に処すべきところ、特に一命を助けて、伊達式部に預けとする、――以上だ」