轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

05 第五部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,443 字 · 398 页

青空文庫

そして、その中から出て来たのは、鈴田に手をひかれた荒田老だった。

「あっ、荒田さんでしたか。ようこそ。……あなたがお出でになることは全く存じがけなかったものですから、どなたのお車かと思っていました。」

と、朝倉先生が歩みよりながら声をかけた。

荒田老は、和服の上にマントをひっかけ、毛皮製のスキー帽みたようなものをかぶっていたが、帽子には手もかけず、

「やあ、塾長さんですか。」

と、黒眼鏡を朝倉先生の声のするほうに向け、

「今日は、しばらくぶりで、わしも見学にあがりましたんじゃ。まだ興国塾からは見えませんかな。」

「一時に到着という約束になっていますので、もうすぐ、見えるでしょう。」

そう言っているうちに、正門の外から、「歩調取れ」というかん高い号令の声がきこえ、つづいて、カーキー色の服を着た一隊の青年が、ももを高くあげ、手を大きく前後にふりながら、堂々と門をはいって来た。

それを見ると、こちらの塾生たちは、ほうぼうから急いで朝倉先生の立っている近くに集まって来た。そして、手を高くあげて叫んだり、拍手をしたりして、歓迎の意を表した。むろん、みんなの顔は笑いでほころびていた。