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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
05 第五部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,443 字 · 398 页
それはちょうど町の群衆が凱旋の軍隊を迎える時のような光景であった。
その間、先方の隊はわき目もふらず行進しつづけて来たが、やがてこちらの集まっている前まで来ると、「分隊止まれ」の号令で停止し、「左向け左」の号令で横隊になった。そして両翼の嚮導によって整頓を正され終わると、そのあとは壁のように動かなくなった。
同時に、こちらの歓迎のざわめきもぴたりととまり、あたりはしいんとなった。
すると、それまで隊のあとから見えがくれについて来ていた背広の紳士が、つかつかと進み出て、まず荒田老と、つぎに朝倉先生と、あいさつをかわした。年格好といい、容貌といい、その人が興国塾長の小関氏であることは、次郎には一目でわかった。
小関氏は、あいさつをすますと、こちらの塾生たちの群をさげすむように見ながら、朝倉先生に言った。
「どういう順序になっていますかね。私のほうは、もうすべてご予定通りに動くように準備ができていますが。」
「あ、そうですか。これは失礼しました。」
と、朝倉先生は、すぐそばに立っていた次郎をかえり見て、
「じゃあ、予定どおりすすめてくれたまえ。」
そこで次郎は双方の中間に進み出て言った。