轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ぶどうむもん
武道無門
山本 周五郎
「内蔵允留守」成武堂、1942(昭和17)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,130 字 · 24 页
番所があるぞと、伊右衛門が叫んだのも構わず、小弥太は広小路へとびだして、それを南へ横切った。そのとき、向うから追って来た追手の一群が彼等をみつけた。「あっ、あの三人だ」「おおい、此方だ!」「逃がすな」うわずった叫び声が、三人の背後へ犇々と迫って来た。小弥太は狭い小路を直角に左へ切れ、大きな屋敷の土塀をぐるっと廻り、広小路の通りの上へ出た。……このあいだに追手を引離していたが、大通りへ出ることは再び危険の中へ自らとびこむ結果となろう。
「小弥太、其方はいかんぞ」
伊右衛門がまた叫んだ。然し小弥太は耳にもかけず、大通りへ出ると直ぐ、左手にある間口の広い一軒の店へ走入った。……どうするのだ。忠善は思わず恟っとした。そんなところの店に知り合はない筈である。なにか戸惑いをしたのではないか、そう思って伊右衛門は振返りながら立停った。すると同時に、いまはいった小弥太が、馬を三頭曳いて、その店の横から出て来た。
「早く、殿、早くこの馬に!」
「おお、小弥太」忠善の眉がくっとあがった。
「追手がまいります、早く、岡野さま」
三人は馬へとび乗った。
先登を駆った小弥太は、考えも及ばぬ裏道を取って街道へ出た。