轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しかばねをくうおとこ

死屍を食う男

葉山 嘉樹

「新青年」1927(昭和2)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,482 字 · 16 页

青空文庫

あまり水裡の時間が長いので、賞賛の声、羨望の声が、恐怖の叫びに変わった。

ついに野球のセコチャンが一人溺死した。

湖は、底もなく澄みわたった空を映して、魔の色をますます濃くした。

「屠牛所の生き血の崇りがあの湖にはあるのだろう」

一週間ぐらいは、その噂で持ち切っていた。

セコチャンは、自分をのみ殺した湖の、蒼黒い湖面を見下ろす墓地に、永劫に眠った。白い旗が、ヒラヒラと、彼の生前を思わせる応援旗のようにはためいた。

安岡は、そのことがあってのちますます淋しさを感ずるようになった。部屋が広すぎた。松が忍び足のように鳴った。国分寺の鐘が陰にこもって聞こえてくるようになった。

こういったふうな状態は、彼をやや神経衰弱に陥れ、睡眠を妨げる結果に導いた。

彼とベッドを並べて寝る深谷は、その問題についてはいつも口を緘していた。彼にはまるで興味がないように見えた。

どちらかといえば、深谷のほうがこんな無気味な淋しい状態からは、先に神経衰弱にかかるのが至当であるはずだった。

色の青白い、瘠せた、胸の薄い、頭の大きいのと反比例に首筋の小さい、ヒョロヒョロした深谷であった。