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しかばねをくうおとこ

死屍を食う男

葉山 嘉樹

「新青年」1927(昭和2)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,482 字 · 16 页

青空文庫

いろんなことを知らないほうがいい、と思われることがあなた方にもよくあるでしょう。

フト、新聞の「その日の運勢」などに眼がつく。自分が七赤だか八白だかまるっきり知らなければ文句はないが、自分は二黒だと知っていれば、旅行や、金談はいけない、などとあると、構わない、やっつけはするが、どこか心の隅のほうにそいつが、しつっこくくっついている。

「あそこの家の屋根からは、毎晩人魂が飛ぶ。見た事があるかい?」

そうなると、子供や臆病な男は夜になるとそこを通らない。

このくらいのことはなんでもない。命をとられるほどのことはないから。

だが、見たため、知ったために命を落とす人が多くある。その一つの話を書いてみましょう。

その学校は、昔は藩の学校だった。明治の維新後県立の中学に変わった。その時分には県下に二つしか中学がなかったので、その中学もすばらしく大きい校舎と、兵営のような寄宿舎とを持つほど膨張した。

中学は山の中にあった。運動場は代々木の練兵場ほど広くて、一方は県社○○○神社に続いており、一方は聖徳太子の建立にかかるといわれる国分寺に続いていた。そしてまた一方は湖になっていて毎年一人ずつ、その中学の生徒が溺死するならわしになっていた。