轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ぼしじょじょう

母子叙情

岡本 かの子

「文学界」1937(昭和12)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,355 字 · 153 页

青空文庫

「やったな、やったな」という声や、またも、「イチロ、イチロ」という叫び声が爆笑と混って聴えた。五六人、西洋人らしい無造作な立ち上り方をして拍手した。

靠れ壁の隅に無精らしく曲げた背中をもたせて笑ってばかり居る若い娘と、立ち上った群の中に、もう一人長身の若い娘が、お出額の捲髪を光線の中に振り上げ振り上げ、智慧のない恰好で夢中に拍手しているのを、かの女は第一にはっきり見て取った。かの女はちょっと彼等に微笑しながら目礼したけれど、妙な一種の怯えが、むす子を彼等から保護するような態度を、かの女にさせた。かの女は思わず息子の身近くに寄り添った。そのくせかの女はまたすぐあとから、彼等に好感を覚えてのろのろと彼等の方を見返した。

「おかあさん、何してるんです、どうせあいつら、あとで僕たちの席へ遊びに来ますよ」

「あんた、とても、大胆ね、こんな人中で、よく平気であんな冗談云えるのね」

そういいながら、かの女は却って頼母しそうにむす子の顔をつくづく瞠入った。

むす子のこんなことすら頼母しがるお嬢さん育ちの甘味の去らない母親を、むす子はふだんいじらしいとは思いながら、一層歯痒ゆがっていた。