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みずのしたのいし

水の下の石

山本 周五郎

「新武道」1944(昭和19)年5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,791 字 · 28 页

青空文庫

このあいだに敵味方の死者を集めて荼毘にした、そこでも一人ひとり検めてみたがいなかった。――どうしたのだ、かれは諦めきれない気持で自分の隊へ戻った。あと始末がひとまず終って、再び追手と搦手とに隊をわけ、守備について兵粮をつかったのは午後二時ころのことであった。搦手へまわった竹沢隊では、久しぶりに甲冑を解きからだをぬぐい、城壁の日蔭に席をとって寛いだ、そして桁づたいに城へ潜入した六人の話が出た、小弥太が濠へ墜ちたところではみんなあっと息をのみ、それでどうしたと一斉にのりだした。また焔硝蔵へ火をかけたとき、和田勝之丞という者が爆発の火に吹かれて死んだが、効果を確実にするため勝之丞が必要よりも接近し、寧ろからだごと焔硝蔵へとび込んだというのを聞くと、兵たちは思わず呻き、歯を噛みしめた。……図書助は黙って聞いていたが、食事が済むと大七を呼んで立ちあがった、「誰か水練に自信のある者はないか……」そう云って見まわすと、ひとりの兵がすぐに立って来た、図書助は頷いて搦手の城門のほうへ歩いていった。どうするんだろう、ほかの者たちも興を唆られ、いってみろと十人ばかりあとを追っていった。