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みずのおんな
水の女
折口 信夫
「民族 第二巻第六号」1927(昭和2年)年9月、「民族 第三巻第二号」1928(昭和3年)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,525 字 · 38 页
三 出雲びとのみぬは
一方また、神祇官の卜部を媒にして、陰陽道は、知らず悟らぬうちに、古式を飜案して行っていた。出雲国造の奏寿のために上京する際の禊ぎは、出雲風土記の記述によると、わりに古い型を守っていたものと見てよい。そうしてすくなくとも、これにはあって、宮廷の行事および呪詞にない一つは、みぬまに絡んだ部分である。大祓詞および節折りの呪詞の秘密な部分として、発表せられないでいたのかも知れない。だが、大祓詞は放つ方ばかりを扱うたことを示している。禊ぎに関して発生した神々を説く段があって、その後新しい生活を祝福する詞を述べたに違いない。そして大直日の祭りとその祝詞とが神楽化し、祭文化し、祭文化する以前には、みぬまという名も出てきたかも知れない。
三 出雲びとのみぬは
神賀詞を唱えた国造の国の出雲では、みぬまの神名であることを知ってもいた。みぬはとしてである。風土記には、二社を登録している。二つながら、現に国造のいる杵築にあったのである。でも、みぬまとなると、わからなくなった呪詞・叙事詩の上の名辞としか感ぜられなかったのであろう。
水沼の字は、おなじ風土記仁多郡の一章に二とこまで出ている。