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みずとりてい
水鳥亭
「別冊文藝春秋 第一五号」1950(昭和25)年3月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 30,705 字 · 62 页
作戦は計画通りいっとる」
日本の反撃は亮作の反撃であった。彼の顔色は、ちょッと得意にかがやく。これが彼の為しうる唯一の執拗な反撃であり、仕返しなのである。
克子はそんな子供じみた仕返しに興味がなかった。
「じゃア、疎開しないの?」
自分の興味だけ追求する。
「疎開するところがないからなのよ。負け惜しみッてことが分らないのかね」
「いいじゃないの。きいてみたって」
「きくだけ、ヤボよ」
「でも、ききたいわね」
「きいて、どうするのね」
「この本の保管托されてさ。なんの役にも立たなかったガラクタだなんて、その人知らないわね。おもしろいじゃないの」
亮作は亀の甲から首をだす。
「人間には夢が必要だ。夢を持たなきゃ生きられない。三文の値打もないと分っていても、夢に托して生きる。お前さん方には、わからない。戦争が終って、私と本が又一しょに暮すようになる。時世が変って、私のような老書生も試験にパスして、新時代に返り咲くかも知れない。バカらしくとも、夢に托して生きて行くのがカンジンさ」
「なんだ、つまんない」
克子は即座にうちけした。
「戦争が終ってから試験にパスしたって、もう停年の年齢じゃないのよ。