轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

えがわらんこ

江川蘭子

江戸川 乱歩

「新青年」博文館、1930(昭和5)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,151 字 · 23 页

青空文庫

随ってその夜突然の兇行の動機も、兇行そのことさえも、彼女には全く無意味でしかなかった。

兎も角、彼女は寝台の上を稲妻の様にピカピカと光るものを見た。次に変な唸声を聞いた。二歳の彼女ではあったが、又日頃罵声やヴァイオリンの恐怖音に慣れた彼女ではあったが、その時父母の身体から発した、断末魔の唸り声丈けは、一生涯忘れることが出来ぬ程、深い印象となって残った。

その次の瞬間には、彼女は父母の大きな身体と一緒に、ベッドから床の上に転がり落ちた。だが、転落そのものは、彼女にとってこよなき快感であった。彼女は母親の死体におしつぶされてもがきながらも、転落の快感で、キャッキャッと笑っていた。

という訳は、彼女は前述の環境のお蔭で、その頃は已に、かの「支持の滅失」を日常茶飯事と心得、寧ろそれを無上の快楽として喜ぶ様な、変態児になり終っていたからだ。だが、それについては、もっとあとで述べる機会があろう。

ベッドを転がり落ちると、直ちに花の様な真赤な色が彼女の目を刺戟し、ヌルヌルした液体が彼女の触覚をくすぐった。母親の白い肉体から、乳とは違った、真赤な見事な泉が滾々として湧き出していたのだ。