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さばくのこと

沙漠の古都

国枝 史郎

「新趣味」博文館 、1923(大正12)年3月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,076 字 · 220 页

青空文庫

老人は長い間考えてからようやく私の希望を容れて小屋を造ることを許してくれた。老人の命令に従って有尾人達は私の小屋を湖水の見える林の中の高い木の上へ造ってくれた。人猿達は腕力に任かせて巨大の生木をピシピシ折ったり鉄より強い藤の蔓を糸でも切るように引き千切ったりして、ものの半日と経たないうちに私の小屋は出来上がった。何より私の喜んだことは老人にも人猿にも妨げられずにたった一人で小屋の中で熟考することが出来ることで、私は終日そこに坐って是非ともこれから行なって見ようと思う計画について考えた。この計画があったればこそ、ラシイヌ探偵の勧めにも応ぜず一人蕃地へ残ったのである。

しかし私の計画についてこの備忘録へ記すより先に、何故探検隊の一行がこの土地を見捨てて立ち去ったかを書き記す方が順序らしい。

探検隊の一行が私達の面前へ現われた日のその翌日のことであったが、ラシイヌ探偵の指揮の下に革船を一隻湖水に浮かべて湖底の様子を探ろうとした。折り畳み式の革船で八人乗りの大きさであった。湖水に浮かべる船としてはこれ以上勝れた船はない。軽く漂々と水に浮かんで燕のように軽快である。