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さばくのこと

沙漠の古都

国枝 史郎

「新趣味」博文館 、1923(大正12)年3月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,076 字 · 220 页

青空文庫

第三回 世界征服の結社

それで後世智恵者があって羊皮紙の文字に疑いを起こし沙漠へ探検にやって来てあの標柱を掘り出すか、二つの水晶球を得るかすれば、巨億の財産を隠匿した場所を発見することが出来るという、そういう寸法にして置いたらしい。恐らく張というあの支那人も、羊皮紙の一枚を手に入れた幸運な智恵者の一人なんだろう。そして運よくあの男は水晶の球を二つながらここで手に入れたに違いない。しかし僕らも天の助けで、あの標柱をさがし当てた。僕らと張は五分五分だ。沙漠には用がなくなった。舞台は南洋に移ったのだ――それでは僕らも沙漠を横切り支那の本土へ一旦出てさらに南洋へ行こうではないか」

いかにも愉快そうにこう云ってラシイヌはみんなを見廻した。みんなの顔にも歓喜の情があふれるほどに漲っている。

沙漠はその間も、キラキラと幻のように輝いている。

秘密! 秘密! あらゆる秘密を蔽い隠しているように沙漠は朝陽に輝いていた。

第三回 世界征服の結社

十

北京の春は逝きつつあった。世はもう青葉の世界である。胡沙吹く嵐にもろもろの花がはかなく地上に散り敷いた後は、この世から花は失なわれた。