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さばくのこと
沙漠の古都
国枝 史郎
「新趣味」博文館 、1923(大正12)年3月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,076 字 · 220 页
僕も新聞を見た時からこいつをおかしく思ったんだ――燐光を放った獣なんか一匹いるさえ不思議だのに、二匹もいるということはどう考えてもちと腑に落ちないね……なあにやっぱり一匹だろう」
「記事からいくと二匹だがね」
「往来の人の錯覚でこの前は全身が光るように見え、昨夜は眼瞼だけ光るように見え、それで驚いたに違いないよ……で僕は一匹だと思う……だがあるいは、あるいはだね、一匹もいないのかもしれないよ」レザールは微妙に云ったものである。
「全部を錯覚にするのだね?」ダンチョンは首を横に振って、「一度ならず二度までも一人ならず数人の者が、そういう獣を見たのだから、錯覚とばかりは云えないね」
「君の云うのが本当かあるいは僕の説が正しいか、探って見なければ解らないが、ただ怪獣が出たというばかりで世間の害にならないのだから、探って見ようという興味もない……依頼者でもあればともかくだが」
「しかし」とダンチョンは遮って、「無害ということも云われないね。現にその獣に脅されて悲鳴をあげた者があるといって、この新聞にも書いてあるんだからね」
「無理に難癖をつけるとして秩序紊乱という奴かな。