轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
さばくのこと
沙漠の古都
国枝 史郎
「新趣味」博文館 、1923(大正12)年3月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,076 字 · 220 页
あいつは唯の女じゃないよ」
「それじゃ掏摸だとおっしゃるので? あの素敵もない別嬪を?」ダンチョンは不平そうに云ったものである。「僕には怪しいとは思われませんね。彼女はきっと旅行家でしょう。だから陽に焼けているんですよ」
「手首だけ陽に焼けるわけがないよ」
「土耳古婦人はいつの場合でも面紗で顔を隠すそうです。顔や頸が焼けなくて手首だけ焼けるのはそのためでしょう」
「なるほど」とラシイヌは微笑して、「その解釈はよいとしても、どうして常時僕らの方へああも視線を向けるのかね。あいつの注意を引くような好男子は一人もいない筈だ」
「視線を向けると思うのは恐らくあなたの眼違いでしょう。僕にはそうは見えませんものね」
「よし」とラシイヌは語気を強め、「レザールの意見を聞くとしよう」
彼は車中を見廻したが、同業であり後輩である私立探偵レザールは、どこの腰掛けにも見えなかった。はるか向こうの窓際にこの一行の立て役者の博言博士マハラヤナ老が――世界を挙げて探しても十五人しかいないという回鶻語の学者とは思われないほどの好々爺然とした微笑を含んでコクリコクリ居眠りをしている横に、これもやっぱり同行の冒険好きの医学士で一行の衛生を担任しているカルロス君がいるばかりで、レザールの姿はどこにも見えない。