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さばくのこと
沙漠の古都
国枝 史郎
「新趣味」博文館 、1923(大正12)年3月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,076 字 · 220 页
烏魯木斎の次が土魯番で私達はウルマチとトロバンとで完全に旅行の用意をした。悉皆馬を売り払い駱駝を無数に買い込んだ。氷の塊を袋に詰め充分に食料を用意した。探検用の専門の器具は木箱に入れて厳封した。ノガイ族キルギス族土耳古族、それらの幾人かをまた雇った。同勢すべて三十人。いよいよ沙漠へ打ち入った。
幾日も幾日も一行は沙漠を渡って行く。……
もうここで十日野営を張る。いつまで野営をするのだろう。いつまでも野営をするがいい。私はそれを希望する。私はこの地を離れまい。美しい謎の土耳古美人を自分のものにするまでは断じて私は離れまい。
阿勒騰塔格の大山脈と庫魯克格の小山脈とに南北を劃られた羅布の沙漠のちょうどこの辺は底らしい。どっちを見ても茫々とした流れる砂の海ばかりだ。遙かに見える丘陵もやっぱり砂の丘であって一夜の暴風で出来たものだ。ところどころに沼がある。しかしその水は飲めなかった。多量に塩分を含んでいる。立ち枯れの林が一、二ヵ所白骨のように立っていて野生の羊がその周囲を咳をしながら歩いている。遠くの砂丘で啼いている獣はやっぱり野生の駱駝である。私達を恐れているのだろう。