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かわみずのはなし
河水の話
小川 未明
「早稲田文学」1924(大正13)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,668 字 · 8 页
もっと、太陽は、大きく、そして、林の中は、ぎらぎらと明るく光っていました。」と答えました。
寒い国の山で、子供の時分に育ったつえには、それを想像することができなかったのです。
そのうちに、水の上が、紅く色づいて、夏の日は、だんだん暮れかかりました。林のなかで、鳴いているひぐらしの声も静まると、星の影が映ったのであります。あたりは、暗くなってしまいました。
しかし、河水は、休まずに、流れていきました。
日は暮れても、空の色は、ほんのりと明るく、土手の下を流れていくと、ほたるなどが飛んでいました。なんでもその土手へは、近所の人々が涼みにきているように、思われました。バナナの皮は、若い男と女とが、楽しそうに語り合い、笑っている声をききますと、急に産まれた、南の故郷が恋しくなりました。自分のなっていた木の下で、ちょうど、これと、同じ笑い声や、ささやき声を、聞いたことがあったからです。
「どうか、私をこの土手の岸へ上げてください。私は、せめて、ここで故郷をしのびながら、果てたいと思いますから……。」といって、バナナの皮は、河水に向かって、たのみました。
「俺たちは、そんな約束までしなかったはずだ。