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でいたんちそうわ
泥炭地双話
中谷 宇吉郎
美しき泥炭地「科学と芸術」1946(昭和21)年3月<br>泥炭地の物理「農業朝日」1946(昭和21)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,790 字 · 12 页
その上厄介なことには、春先こういう凍土が太陽の輻射熱によって上面から融ける時に、下層に水を透さぬ凍結層が残っているために、上澄水の行場がなく、地表は泥濘と化するのである。この泥濘の水は、下から吸い上げられた水なので、肥料分を含んでいる。それが結局流れてしまうので、土地はだんだん痩せて来るはずである。
此処で排水の問題が再び検討を必要とすることになって来る。この種の問題の解決には、泥炭の凍結様式の研究とか、熱伝導度と含水量との関係とか、透水度の測定とかいうような実験室内の研究がまず必要である。それと同時に、泥炭地の地中温度および水分の分布と、その季節による変化、特に凍結融解の際の熱の伝達と水の移動の状態とを、天然の泥炭地について、気象学的測定と並行して通年行う必要がある。この実験室内における実験物理学的研究と、天然の泥炭地における地球物理学的測定と、その両者の結果を総合して初めて地温上昇に及ぼす排水の影響が科学的に闡明されることになる。泥炭地の排水問題を科学的に解決するには、一寸考えただけでも、これだけの順序を踏む必要がある。実際にやってみたら、まだ気の付いていない問題が沢山出て来るかもしれない。