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でいたんちそうわ
泥炭地双話
中谷 宇吉郎
美しき泥炭地「科学と芸術」1946(昭和21)年3月<br>泥炭地の物理「農業朝日」1946(昭和21)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,790 字 · 12 页
ただその中で無駄に反射されて逃げる熱量を出来るだけ少なくすることが、科学の務めである。反射で逃げる輻射熱で一番大きいものは、春先の雪面からの反射であろう。三月の中頃雪が大体降り止んでから、五月に入ってやっと雪が消えるまでの間、地面は白い雪に蔽われていて、春先の強いあの日射を大部分反射してしまうのは如何にも惜しいことである。従って雪の融け方もおそく、作付が遅れて、北国の乏しい収穫をますます乏しくするのである。
融雪の促進という問題が、それで泥炭地の開発には、一つの重大な問題となる。この方は既に研究が相当進んでいるので、資材と労力さえ許せば、太陽熱の利用によって二週間くらい早く雪を消すことは可能である。何百町歩という、広茫たる土地でも、雪上トラクターさえ使えば、その雪を消すことは充分見込みがあり、また、雪上トラクターも既に出来ているものがある。今のところ経費だけの問題で、わが国ではそういう研究に金を出さないだけのことである。北国の春に特有なあの強い日射しを、一カ月の間無駄に棄ててしまわないで、半月の日射しを利用して雪を消し、残りの半月の日射しを黒土に吸収させたならば、泥炭地の地温上昇に何らかの寄与があることは確実である。