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りゅうせんスパイ

流線間諜

海野 十三

「つはもの」1934(昭和9)年~1935(昭和10)年頃

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,982 字 · 70 页

青空文庫

そうして皆が別々に、わけの分らぬことを叫んだが、どうやらそれはこの一団の隠し言葉であって自分の名乗をあげたものらしかった。

「着席!」

「右足のない梟」と叫んだ首領は、そこで自ら先に立って席に坐った。一同もこれに倣って席についた。

「今日はまず最初に、わがR団の第二号礼式を行う。――」

そういって一同をズッと眺めた。

すると、また別の、まるで地下に滅入るような音楽が起って来た。――ギギィッという軋るような音がして、途端に一同の目の前の床が、畳一枚ほどガッと持ち上ってきたと思うと、それは上に迫り上って一つの四角な檻となった。檻の中には、同じ様な黒装束をした人間が二人突立っていた。

檻がピタリと停ると、「右足のない梟」の隣にいた「壊れた水車」が席を立って檻に近づき、それを開いて二人を引張り出した。一人は大きいし一人はやや低い。

「壊れた水車」は檻をまた旧のように床下に下ろした上で、二人を一座の中央に引据えて、その黒い服を剥ぎとった。するとその覆面の下から現れた二つの顔! ああ意外にも、その大きい方の顔は、銀座に猿を連れて現れ、屍体からマッチ箱を盗んでいった大男だった。