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りゅうせんスパイ

流線間諜

海野 十三

「つはもの」1934(昭和9)年~1935(昭和10)年頃

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,982 字 · 70 页

青空文庫

「そうだ。紛失したのならネ……。ウム、これはひょっとすると……」

そういって、A首領の「右足のない梟」は、中身のない封筒を摘みあげて、電灯の下で仔細に改めていたがそのうちに、

「ほほう、この鋭い刃物の痕のようなものは何だろう?」

と頭をひねった。

「刃物の痕だって?」

「そうだ、封筒の上に深い刃物の痕がついているが、これは私の知らぬことだ」といいながら机の上に近づいて、その上に拡げられている大きな吸取紙の上に顔をすりつけんばかりにして何ものかを探していたが、やがて「ウン、あったぞ。ここにも刃物の痕がある。こっちの方が痕が浅いところをみると、封筒の上から刃物で刺し透したのだ。誰がやったのだろう。この位置だとすると……」

首領はハッと首をすくめると、懐中から鏡を出して、その中を覗きこんだ。その鏡の底には、丁度真上にあたる帆村の隠れている空気孔の鉄格子がハッキリうつっていた。帆村の危機は迫った。

死線を越える時

天井の鉄格子の間から下を見下ろしていた帆村探偵は

「失敗った!」

と叫んだ。首領「右足のない梟」は帆村がひそんでいることに気がついたらしい。ではどうする?