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りゅうせんスパイ
流線間諜
海野 十三
「つはもの」1934(昭和9)年~1935(昭和10)年頃
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,982 字 · 70 页
しかしこれだけは約束をして置こう。なにか面白い行動を起すようなときには、君を必ず一緒に連れだってゆくから……」
そう言い捨てて牧山大佐はそそくさと部屋を出ていった。帆村探偵は写真のある部屋にただひとり待っていた。思えば銀座の鋪道で偶然見た婦人の怪死事件から発して、かずかずの冒険をくりかえし、その結果、はからずも釣りあげた敵の密書から、いまや重大なる行動が起されようとしているのだ。一体なにごとが敵国の手で計画されているのだろう。あの二つの地点で、これから何が始まろうとしているのだ。空前の土木工事にはちがいないが、かの堰堤はいかなる秘密を蔵しているのであろうか。
帆村はずいぶん永く待たされた。既に食事を配給せられること二度、もう我慢がならぬから、辞去しようと思ったけれど、牧山大佐の言葉を信用して、もう少し待とうと頑張りつづけた。そして彼の焦躁がどうにも待ちきれなくなり、遂に一大爆発をしようとした午後九時になって、廊下に跫音も荒々しく、待ちに待った牧山大佐がひどく興奮した面持をして這入ってきた。
「ああ、牧山さん。どうも待たせるじゃありませんか……」
「まあ我慢してくれたまえ。