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りゅうせんスパイ
流線間諜
海野 十三
「つはもの」1934(昭和9)年~1935(昭和10)年頃
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,982 字 · 70 页
「すると、この堰堤工事はどんな目的をもっているのですか。どうか話をして下さい」
「まあ待ちたまえ。いまはまだ話をする時期になっていない」と大佐は帆村を静かに押しとどめ「それよりも君が持って来た密書を大いに生かすことが先決問題だ。ことに相手が『右足のない梟』であって見れば、これは全く油断のならないことだ」
「ほほう」と帆村は目を丸くして「すると大佐どのは、前から『右足のない梟』を御存じなのですか」
「もちろん知っている。あの男と机を並べて勉強したこともあったよ。×国きっての逸材だ。恐るべき頭脳と手腕の持ち主だ。かねて大警戒はしていたが、どうしてもその尻尾をつかまえることが出来なかったのだ。こんど君が奪ってきてくれた密書こそ、実はわれわれがどんなにか待ちわびていた証拠書類でもあり、かつまた彼の使命の全貌を知らせてくれたこの上ない宝物だったのだ。イヤもっと話をしていたいが、先刻もいったように、いまは愚図愚図している場合ではない。僕はちょっと出掛けるから、君はここに待っていたまえ」
「大佐どの、お出掛けなら、私も連れていっていただけませんか」
「いや、それは出来ない。