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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
飛行班員は総員波にあらわれている甲板上で大活動を始めた。起重機の腕はしずかに横に伸びてゆく。その上によじのぼって繋留索を操っている水兵がある。いずれも人間業とも思えない敏捷さだ。
海面を滑って来た柳下機が、起重機の腕の下をくぐろうとした時、繋留索はたくみに飛行機をくいとめた。
水上機は波間より浮きあがった。
飛行帽に飛行服の柳下空曹長の姿が見える。
起重機はぐーっと動きだした。
艦橋の上では艦長以下が固唾をのんでこの繋留作業の模様をみつめている。
このとき艦橋当直下士官が叫んだ。
「艦長、聴音班報告です」
「おう、――」
「敵機襲来。その数六機。いずれも本艦頭上にあり。おわり」
「本艦頭上か。よし」
次は急降下爆撃とおいでなさるか。
「作業、急げ!」
甲板上では、飛行班の指揮者が呶鳴っている。
と、その時左舷の方にあたって、眼もくらむような大閃光と同時に艦橋も檣も火の海!
だだだーん、がががーん。
ひゅうひゅうひゅう。ざざざざっ。
天も海もひっくりかえるような大音響だ。
「空爆だ!」
「作業、急げ!」
「総員、波に気をつけ!」
大きなうねりが、艦尾から滝のように襲いかかってきた。