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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
なお細心の注意をおこたらず、身命を賭して、エンジンをおあずかりいたします。どうか御安心ください」
これを聞いていた機関大尉フランクの顔といったらなかった。まず真赤になり、眼をとび出すほど見開いて、やがて蒼白になっていった。
司令官リット少将と、なれなれしく会話をとりかわしているこの東洋人は、一たい何者であろうか。
フランク大尉は今まで見たこともない男が、自分が受けもっている機関部で、何の不思議もなく働いているのに、まずあっけにとられ、次の瞬間頭がくらくらとするほど驚いた。
それにしても、いつもここにいる部員たち、殊に、彼が最も信頼しているケント兵曹は、今どこへ行って、何をしているのか。
彼は、飛行島にとって最も恐るべきことが、目前に起っていることを感じると、最早ためらうべき時でないと、ずっしりと重いピストルを握りなおして、東洋人の頭にぴたりと銃口を向けた。
「こら」その声はふるえを帯びていた。
「貴様は何者だ。命が惜しかったら、いまから十かぞえる間に姓名を名のれ。その間に名のらなかったら、おれは機関部第二分隊長の実力をもって、貴様を射殺する」
ピストルを握ったフランク分隊長の右手は、わなわなとふるえていた。