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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
いうまでもなく、この東洋人こそ、われらの大勇士、川上機関大尉の変装姿であったのだ。
川上機関大尉現る!
おお川上機関大尉!
どこにどうしていたのか、川上機関大尉は、再び、われらの前に現れたのだ。
そもそも飛行島の秘密を探る命令が川上大尉にくだったのは、もちろん彼が、飛行島を動かすエンジンなどの諸機械にくわしいところを見こまれたからであるが、しかし理由はただそれだけではない。彼の鋭い頭の働きと、底知れぬ大胆さと、そしていかなる死地にあっても、くそおちつきにおちついて物事を考える。そして、よしとなったらどんなことでもやり通さずにはおかない恐るべき実行力を見こまれたからであった。
一たい人間というものは、その相手から思いきった大胆なことをやられると、却って気をのまれてしまって、なにも手だしができないものである。これが死地にあって敵と闘うときの最上の極意である。わが川上機関大尉は、この尊い極意をちゃんと心得ていたのだ。
フランク大尉はピストルの引金に手をかけた。
「覚悟はよいか。一から十まで数えおわれば、この引金をひくのだぞ。さあ数えるぞ、一イ、二ウ、三イ、……」