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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
機関大尉の明鏡のような頭には、事の成行ははじめからわかっていたのだ。その悠々たるおちつきぶりを見よ。赤銅色の頬には不敵にも、誇らかな勝利の微笑さえ浮かんだではないか。
速力三十ノット。
もうすこしで、飛行島は最大速力を出すところだ。
飛行島の心臓部であるエンジンは快調をつづけている。何という頼もしさ。大英帝国が、平和の飛行場として建造した飛行島が、超大航空母艦として、真におどろくべき実力をもっていることは、最早、疑う余地はなくなった。
「うーむ」ケント兵曹はうなった。飛行島の大事を思うて、フランク分隊長をとめはしたものの、もしこれが本物のカワカミであったら、このままにしておくことは出来ない。
といって、今、この男を射殺すると、あとはどうなる。第四エンジンは、誰がうごかすのだ。飛行島の試運転はどうなるのだ。その時のリット少将の驚きと怒……はじめから何もかもリット少将に報告しておけばよかったものを、機関部の不名誉と責任問題になると思って、部内でこっそり後始末をしようとしたのがいけなかった。今となっては、リット少将に報告することさえ恐しいが、何にしても飛行島の運命にかかわる重大事だ。