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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
(そうだ!)
とケント兵曹は、とっさに決心して、
「フランク大尉。もうこうなった以上、恥をしのんで、何もかもリット少将閣下に、報告してその指揮を仰いだ方が上分別ですぞ」
「なに、リット少将閣下に――」
フランク分隊長は、きっと顔をこわばらせた。
が、とっさに決心すると、ピストルをケント兵曹にわたして、東洋人カラモを監視せしめ、自分は電話をかけにいった。
それからものの五分間ほどして、フランク大尉はふたたび第四エンジン室にかえってきた。彼の顔はさらに大きな興奮に青ざめていた。
「どうしました。フランク分隊長」
と、ケント兵曹は聞いた。
しかしフランク大尉は、何もいわずにケント兵曹の手からピストルをもぎとった。
「もしフランク分隊長。リット少将閣下は、一たいどうおっしゃったのですか」
ケント兵曹は、かさねて聞いた。
フランク大尉は、それに答えようともせず、石像のようにつったったまま、変装の川上機関大尉にしっかり銃口を向けている。
そのとき司令塔からは、また次の命令が川上機関大尉のところへ伝わってきた。
「最大速力三十五ノットへ――」
「はい、最大速力三十五ノットへ」