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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
艦長のところで、杉田はなにか申開きのできない始末になっているのじゃないかね」
と、同僚があいづちをうった。
すると別の水兵が、いきなり顔を大辻の方に出して、
「おい大辻」
「なんだ。魚崎」
「なんだじゃないぜ。貴様が余計なおしゃべりをするから、杉田がこんな目にあうんだぞ」
「なんだって、俺が余計なおしゃべりをしたって。なにをいうんだ。この大辻さまは、余計なことなんか一言もしゃべったことはないぞ」
魚崎はじめ同僚が噴きだした。大辻のおしゃべりは艦内の名物だ。彼が何かを知ったら、それから十分後には、艦内の水兵たちが皆それを知ってしまうくらいだ。
「なにをいっているのだ。大辻、貴様がいけないんだぞ。川上機関大尉の服は全部私室に揃っております。だから機関大尉はいま素裸でいられるのでありますなどと、余計なことをいったじゃないか」
「あれえ、――」
と大辻はぐりぐり眼玉をむいて、
「こら魚崎、そういったのが、どこがいけないんだ。それは本当のことじゃないか。それとも貴様は、上官に対し嘘をつけとでもいうのか。次第によっては、日頃汁粉を奢ってもらっている貴様といえども、許さんぞ。