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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
それを聞いていた大男の大辻は、突然顔をゆがめて、
「お、俺は、そんなつもりでしゃべったんじゃないんだ。杉田のやつが悲痛な顔をしてやがるから、俺も一しょにしらべて、一刻も早く川上機関大尉の行方をさがしだしてやろうと思ってしゃべったんだ。それだのに、貴様らは――貴様らは――うへっへっへっ」
大辻は涙をぽろぽろ出して、泣きだした。
同僚はあわてた。大男の大辻が泣くところをはじめてみたからである。しかもなんという奇妙な泣声だろう。うへっへっへっなんて、泣声だか、それとも笑声だか分かりゃしない。
「おい大辻。わ、分かった分かった」と魚崎は立ちあがって、やさしく大男の肩をなでてやった。
「貴様の友達おもいの気持はよく分かっとる。泣くな泣くな、みっともないじゃないか。布袋さまみたいな貴様が泣くと、褌のないのよりも、もっとみっともないぞ」
どっと一座は爆笑した。
大辻も、それにつりこまれて、涙にぬれた顔をあげながら、にっこり笑った。
飛行島を出港
同僚たちが心配していた杉田二等水兵は、その夜更十二時近くになってはじめて帰された。
彼が、ただ一つ残されたハンモックを天井に釣りはじめた時、その隣で寝ていた魚崎や大辻が眼をさました。