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うかぶひこうとう
浮かぶ飛行島
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页
そして帰りぎわに川上機関大尉のいいつけどおり広珍に寄って、矮鶏の合札とひきかえに、一つの荷物をうけとって帰艦したのだった。
彼はすぐとその足で、荷物を川上機関大尉の室にもって入った。
荷物はすぐに開けという命令だ。
杉田は、この荷物の中に一体なにが入っているのか知らなかった。彼は早く中の品物をみたかった。さっそく包紙をやぶってみると、その中はまた紙包になっていた。なんのために、そう厳重にしてあるのだろうかと怪しみながら、二重三重の包紙をやぶって、やっと待ちに待った品物が、杉田二等水兵の眼の前に出てきた。それを見た時、彼は驚きのあまり、思わずあっと叫んだ。
品物は一たい何であったろうか。
白い機関大尉の軍服、軍帽、短剣、靴、襦袢その他のものであった。
「これはどうしたんだろう」
杉田二等水兵は、自分の眼を疑った。調べてみると、これはたしかに川上機関大尉の着ていった服装だ。実に不可解なことだ。
杉田はその時、包の中に一枚の紙切が入っているのを見つけた。彼は思わず胸をおどらせて、それを開いた。
はたしてそれは、川上機関大尉の筆蹟で認められた杉田にあてた手紙であった。