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うかぶひこうとう

浮かぶ飛行島

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页

青空文庫

はっはっはっ。貴様は今夜どうかしとるぞ。さあ元気を出せ。持ってきた酒を空にしてみせろ」

と、長谷部大尉は、また酒をなみなみと友のコップの中に注いで、

「おい川上、そういえば報告を聞いたろうが、明日はいよいよ海上に面白いものを見られるぞ」

と、話題をかえる。

「うん、あの飛行島のことかい」

「そうだ、飛行島だ。こいつはこんどの遠洋航海中随一の見物だぞ」

明日は見られるという飛行島!

それは広い広い海の真只中に作られた飛行場だった。もちろんその飛行場は、水面に浮かんでいるのだった。沢山の丈夫な錨によって海底へつながっているから、どんな風浪にもびくともしない。

大きさは、ドイツの大飛行船ヒットラー号よりも何十メートルか大きいというから、東京駅がそのまま載って、まだ両端へ百メートルずつ出るという長い滑走路を造るのだそうだ。

この飛行島は、目下建造中である。

南北及び東西の航空路の安全をはかるため、特に南シナ海の真中に、飛石のように置いた不時着飛行場で、これさえあれば、その両航空路はどんなに安全さを加えるかしれないというのだ。

そのために、飛行島株式会社というのが出来て、南シナ海をとりまく諸国――つまり英国が主となり、仏国、米国、オランダ、暹羅、中国の諸国を表面上の株主として、莫大な建造費を出しているのだった。