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うかぶひこうとう

浮かぶ飛行島

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1938(昭和13)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 124,009 字 · 249 页

青空文庫

長谷部大尉は、また椅子から立ちあがって、副長に注目した。

「副長、どうした」

と、艦長加賀大佐は平常に似あわず、せきこんで声をかけた。

「はい、艦長。連合艦隊はわれわれのために潜水艦を出動させました。これがその電文です」

「そうか――どれ」

加賀大佐は副長の手から紙片をうけとると、その上に忙しく眼を走らせ、うーむとうなった。

「まず、こういうところだろうなあ」

加賀大佐は通信長を呼出し、ホ型十三号潜水艦との連絡を手落なくとるように命じた。

ホ型十三号潜水艦は、一たいこれからいかなる行動にうつろうとするのであろうか。

飛行島の欠陥?

飛行島の夜は明けはなれた。

熱帯地方の海は、毎日同じ原色版の絵ハガキを見るような晴天がつづく。今日も朝から、空は紺碧に澄み、海面は油を流したように凪いでぎらぎら輝く。

飛行島建設団長リット少将は、たいへん早起であった。提督は起きるとすぐ最上甲板の「鋼鉄の宮殿」をすっかりあけはなち、特別に造らせた豪華な専用プールにとびこみ、海豚のように見事に泳ぎまわる。それがすむと、一時間ばかり書類を見て、それからやっと軽い朝食をとるのが習慣になっていた。