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うみがよんだはなし

海が呼んだ話

小川 未明

「日本の子供」1939(昭和14)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,700 字 · 8 页

青空文庫

一

一

自転車屋のおじさんが、こんど田舎へ帰ることになりました。清吉や、正二にとって、親しみの深いおじさんだったのです。三輪車の修繕もしてもらえば、ゴムまりのパンクしたのを直してもくれました。また、その家の勇ちゃんとはお友だちでもありました。おじさんは、犬や、ねこが好きでした。いい人というものは、みんな生き物をかわいがるとみえます。

勇ちゃんは、こんど田舎の小学校へ上がるといいました。

「勇ちゃん、田舎へいくのうれしい?」

「お友だちがなくて、さびしいや。僕も、お母さんも、いきたくないんだよ。」

「どうして、田舎へいくの。」

「おじいさんが、だんだん年をとって、もう一人で田舎におくことができないからさ。おじいさんは、東京へくるのは、いやだというのだ。そして、昔から住んでいるところにいたいというので、しかたなくお父さんが、帰ることにしたのだよ。」

勇ちゃんの話を聞いて、清吉も、正二も、勇ちゃんのお父さんを親孝行だと思いました。

「この家へは、親類の叔父さんが入るのだから、僕、また遊びにくるよ。」と、勇ちゃんはいいました。

「叔父さんのお家は、どこにあるの。」と、正二が、聞きました。