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うみがよんだはなし
海が呼んだ話
小川 未明
「日本の子供」1939(昭和14)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,700 字 · 8 页
二
二
ある日のこと、清吉のお父さんは、勇ちゃんの叔父さんが、海の生活をやめて、こちらへくるようになったわけを、外から聞いてきたのであります。
「清吉、こんな話は、あまり人にするでないぞ。お父さんが、あるところで聞いてきたのだからな。」
「怖ろしい話?」
「清ちゃん、だまって、聞いていらっしゃい。」と、そばから、姉さんがいいました。
「ある日のこと、沖合いで、汽船が衝突して、一そうは沈み、ついに行方不明のものが、八人あったそうだ。あの人は、海へくぐる名人だってな。それで、たぶんその船といっしょに沈んでしまったのだろうから、中へ入って、死骸をさがしてくれと頼まれたのだ。」
「あのおじさん、入ったのかい。」
「だれも、底が深いし、気味悪がって、いい返事をしたものがないのを、あの人は、一人で入ったのだ。」
「えらいなあ。」
「えらいとも。」
「いいから、清ちゃん、だまって聞いていらっしゃい。」と、お姉さんが、またいいました。
「あの人は、降りていって、船室の内へ入って、さがしたそうだ。けれど、一人の死体も見つからない。おかしいなと思ったが、上がってそのことを報告した。すると、いやそんなはずはない。