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きえたミジアム

消えた霊媒女

大倉 燁子

「オール讀物 四巻一一号」文芸春秋、1934(昭和9)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,605 字 · 31 页

青空文庫

彼の話によると霊媒者を介して、亡き人と語ることも出来る。霊眼が開けば目のあたりに亡き人の姿さえ見ることも出来るとのことでした。何という素晴しい救いではありませんか。私に取ってこれ以上の悦びは他にありませんでした。

しかしまだ半信半疑の点もありましたので、友人から送ってくれた霊に関する本を貪るように読みました。どういう処へ行けばその霊媒者とやらがいるかという事も調べました。

で、早速出かけてみたんです。仮令目的は達しられないでもいい。しかし万一そういう事が行われるなら、それに越した悦びはない――。そう思うと一時もじっとしていられず誰にも知らせずに、そっと教えられた通り、青山北町のその家に行きました。

想像では緋の袴でも穿いた巫女のような女でもいるのかと思っていましたら、大違いで神棚などはどこにもなく、ただ普通の座敷に普通の服装の婦人が髪を七三に分けて端然と座っていました。その横に小机を扣えて上品な白髪の老人が一人坐っています。その人の事をさにわというのだと聞きました。いわば審判官みたいな役だろうと思いました。

私は霊媒女の顔を見てまず驚きました。それは品の好いしかも非常に美しい、それでいて私の死くなった妻に酷似なのです。