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きえたミジアム
消えた霊媒女
大倉 燁子
「オール讀物 四巻一一号」文芸春秋、1934(昭和9)年11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,605 字 · 31 页
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甞ては優しい思い出となっていた妻の事さえ、もう考えられない気持になっている私を憐れんで下さい。一時の感情とはいえ譫言のような言葉に興奮して、殺人罪まで犯すようになった自分の愚さに思い至ると、全身恥と悔のために冷汗をかきます。
私の昼夜は煩悶の連続です。ああ心から笑い、心から語れる幸福は何と尊いものでしょう。
自殺、もうそれより自分を救う途はないと思います。もう生きていることが苦しい。
この頃は死ぬことを考えて、そこに一道の光りを見ます。もう心の苛責に堪えながら生きつづけることが、私には出来なくなりました。この上自分を苦しめるのは我身ながらも余りに可哀想です。あなたにだけお打ち開けしたこの偽らない告白をあなたがどういう風に所置なさろうと、それはあなたの御自由ですが、一人の娘の幸福を守ってやるために、苦しい二年をやっと過して、あなたがごらんになったような、精も根も尽き果てたこの生きながらの死体の私にご同情下さるなら、娘の幸福を打ち砕いてしまうような事は決してなさるまいと信じて疑いません。
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私は読み終って夫人に手紙を返した。彼女は手箱の中にそれを納いながらいうのだった。