轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ひのとり

火の鳥

太宰 治

「愛と美について」竹村書房、1939(昭和14)年5月20日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,740 字 · 76 页

青空文庫

「かえり給え。僕は、言いたいだけのことは、言ったんだ。あとは、もっぱら敬遠主義だ。君も少しは考えるがいい。かえれ。路頭に迷ったって、僕の知ったことじゃない。」

もじもじして、

「路頭は、寒くて、いや。」

三木は、あやうく噴き出しそうになり、

「笑わせようたって、だめさ。」言いながら、はっきり負けたのを意識した。

「さちよ、ここにいるか。」

「いる。」

「女優になるか。」

「なる。」

「勉強するか。」

「する。」

三木の腕の中で、さちよは、小声で答えていた。

「ばかなやつ。」三木は、さちよのからだから離れて、「おふくろと、どんな話をしていた?」いつもの、やさしい歴史的さんに、かえっていた。

「あたし、お母さん好きよ。」さちよは、髪を掻きあげて、「これから、うんと孝行するの。」

そうして、三木との同棲がはじまった。三木は劇壇に、奇妙な勢力を持っていた。背後に、元老の鶴屋北水の頑強な支持もあって、その特異な作風が、劇壇の人たちに敬遠にちかいほどの畏怖の情を以て見られていた。さちよの職場は、すぐにきまった。鴎座である。そのころの鴎座は、素晴しかった。日本の知識人は、一様に、鴎座の努力を尊敬していた。