轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ひのとり
火の鳥
「愛と美について」竹村書房、1939(昭和14)年5月20日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,740 字 · 76 页
一座の指導者は、尾沼栄蔵、由緒正しき貴族である。俳優も、一流の名優が競って参加し、外国の古典やら、また、日本の無名作家の戯曲をも、大胆に採用して、毎月一回一週間ずつの公演を行い、日本の文化を、たしかに高めた。元老、鶴屋北水の推薦と、三木朝太郎の奔走のおかげで、さちよは、いきなり大役をふられた。すなわち、三人姉妹の長女、オリガである。いいかい、オリガは、センチメントおさえて、おさえて、おさえ切れなくなる迄おさえて、幕切れで、どっとせきあげる、それだけ心掛けて居ればいいのだ、あとは尾沼君の言うこと信仰し給え、あれは偉い男だ。それから、ほかの役者の邪魔をしないように、ね。三木は、それだけ言って、あとは、何も教えなかった。三木には、また、三木の仕事があるのである。二階の六畳に閉じこもって、原稿用紙、少し書きかけては、くしゃくしゃに丸めて壁に投げつけ、寝ころんで煙草吸ったり、また起き上って、こつこつ書いたり、毎夜、おそくまで、眠らずにいる。何か大きい仕事にでも、とりかかった様子である。さちよも、なまけてはいなかった。毎日、毎日、尾沼栄蔵のサロンに、稽古に出かけて、ごほんごほん変なせきが出て、ゆたかな頬が、細くなるほど、心労つづけた。