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かせいたんけん

火星探険

海野 十三

「サイエンス」1945(昭和20)年12月~1946(昭和21)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,522 字 · 155 页

青空文庫

そこから見える大宇宙は、いつも暗黒で無数の星がきらめいていることに変りがなく、別に夜が明けるわけでもなく、変化にとぼしい眺めであった。だが少年たちは必ずこの部屋へ入った。彼等の見たいと思うものは、第一に、遠去かり行くなつかしい地球の姿、第二に、だんだん近づく火星の様子であった。

「河合君。あと二日でいよいよ宇宙塵の間を本艇が抜けるそうだよ。本艇はそのとき穴だらけになっちまいやしないだろうか」

「なあに大丈夫だろう。デニー先生もマートンさんも平気な顔をしているもの」

「そうかしら……それから君は、火星には人間が住んでいると思うかい」

「人間かどうかしらんが、生物はいると思うね、張君」

「生物? その生物は、僕たちを見たとき、どうしようと思うだろうね」

「どうしようというと、どんなこと?」

「つまり火星のライオンかゴリラかが、僕たちの顔を見たとき、これは珍らしい御馳走が来たぞ、早速たべちまおうかな、などということになりやしないかね」

「さあ、それはわからないね、マートンさんに聞いてみなければ……」

「マートンさんも、よくわからないと答えたよ、それについて僕は考えたんだ。