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かせいたんけん
火星探険
海野 十三
「サイエンス」1945(昭和20)年12月~1946(昭和21)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,522 字 · 155 页
火星へ上陸するときは、御馳走の固まりをたくさんこしらえて持って行くことだと思うよ」
「御馳走の固まり」
「そうなんだ。この御馳走の固まりは、僕たちがたべるんじゃなく、いざというときに、火星の生物の前へ放りだすんだ。するとその生物がむしゃむしゃたべ始めるだろう。その隙に僕は逃げてしまうんだ」
「ほおん、するとその御馳走の固まりは、つまり僕たちの身代りなんだね」
「僕たちじゃないよ、今のところ僕だけの身代りにこしらえる計画さ」
「そんなことをいわないで、僕の分もつくってくれよ」
「よし、そんなら君の分もこしらえてやるが、一体その火星の生物は、何をたべるかね。何が好きだろうか、それを教えてくれ」
「……」
これには河合二郎も、遂に返事につまってしまった。
さて、一同の乗った宇宙艇はいよいよ火星に近づき、その引力圏内に入った。それはいいが第一の難関がやってきた。それは宇宙塵圏のことである。本艇は果してこの危険圏を安全に通りぬけることができるであろうか。何しろ人類にとって全く前例のないことだけに、デニー老博士も非常に心配している。
運命の危険圏への突入は、あと僅か五時間後に迫っている。