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かせいたんけん
火星探険
海野 十三
「サイエンス」1945(昭和20)年12月~1946(昭和21)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 77,522 字 · 155 页
それはきっと君たちを助けるだろう」
「はあ。そのトランクの中には、何が入っているのですか」
「それはね、わしが永年苦心して作った設計図などが入っているのだ。そのときになれば分るよ」
「博士。それでは、この宇宙艇では、もう地球へ戻れないのですか」
「多分、戻れないだろう。帰還用の燃料は殆んどなくなったし、艇もこのとおり大損傷を蒙っているしね、それにまだいろいろ心配していることがあるんだ。おお、そうだ。こうしてはいられない、またゆっくり話をしてあげようね」
老博士は、大事な用事を思い出したと見え、すたすたとむこうへ行ってしまった。
それから河合は食堂へ行った。
そこには仲間が集っていた。山木もいた。張もいた。ネッドの顔も。皆無事であった。運がよかったのだ。ただ張だけが右脚に打撲傷を負っていて、足をひいていた。
河合少年は、老博士からいわれた話を、ここで皆にして聞かせた。
この宇宙艇では地球へ戻れない、という話は一同を失望させた。河合は一同を励まさねばならなかった。デニー博士の信頼と期待とを破らないように、これから一層勉強をしなければならない。これは地球人類の光栄と幸福のために、ぜひそうしなければならないのだと力説して、ようやく一同の気を引立てることができた。