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かそうこくふうけい

火葬国風景

海野 十三

「帝都日日新聞」1935(昭和10)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,334 字 · 37 页

青空文庫

ドカンドカンと板の上を叩いた。叩いているうちに不図気がついた。

(こうして叩いていれば、誰かが発見してくれるかも知れない)

八十助は、彼の入った棺桶がどこかの祭壇に置かれている場面を想像した。しかし何のザワメキも鐘の声も聞えないところから見れば、それはまず当っていなかった。

(それでは、死体収容所かも知れない?)

死体収容所なれば、森閑としているのも無理がない筈だった。そうだ、そうだ。死体収容所であろうと思った。それで彼は、しばらく暴れることを中止して、両方の耳を澄ました。外部から何の音も響いてこないことを確かめるためだった。

「いーや。……何か聞こえる!」

彼はハッと胸を衝かれたように感じた。何か聞えるのであった。あまり大きい声ではなかったが、水道の栓をひねったときにするようなシュウシュウという音が聞えて来た。

「何だろう、あのシュウシュウいう音は?」

そのうちに、ドンドンというような音が交って来た。その間にカーンと、金属の触れ合うかん高い音が交って聞えた。

「おや。――」

それは、どこかで聞いたことのある音響だった。ドンドンという低いながらも、底力のある物音が地鳴りのように、八十助の腹の底を打った。