轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
かそうこくふうけい
火葬国風景
海野 十三
「帝都日日新聞」1935(昭和10)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,334 字 · 37 页
況んや探偵小説なんてものがこんな理想郷に落ちては居まい。彼は矢張り陋巷に彷徨う三流作家であることを懐しく思い、また誇りにも感じた。そう思いつくと、俄に矢のような帰心に襲われたのだった。
「僕は断る。僕はやっぱり東京へ帰るよ」
「なに東京へ帰る。……あの露子さんに逢いたくないのかい」
「うん、急に逢いたくなくなった。僕はそんなに突拍子も無い幸福に酔おうとは思わないよ。あのゴミゴミした東京で、妻を失ったやもめの小説家としてゴロゴロしているのが性に合っているのだ。僕は帰る!」
「どうしても帰るというか」と鼠谷は残念そうに訊いた。
「うん帰る!」
「よオし是非もない」
鼠谷は歯ぎしりを噛んで二三歩ツツと下った。
ド――ン。
銃声一発。真白なモヤモヤした煙が八十助の鼻先に拡がった。それっきり、八十助の知覚は消えてしまったのだ。……随って今のところ、火葬国についての話も、これから先が無いのである。